大洋丸文献探索>遭難顛末書

●(沖義八郎「日本郵船戦時船史資料集下」日本郵船 1971 p289 遭難顛末書)
昭和17年5月8日20時35分傾いていた本船は再び水平になり、また遂に船首を海面に突っ込み逆立ちし始め、海水は近藤輸送指揮官、吉田副官、原田船長、沖等の足下を洗い、相前後して海中に吸い込まれた。完全に沈没したのは20時40分前後、位置は北緯30度45分東経127度40分付近と思われる。沖は渦に吸い込まれて約1分後浮き上がることが出来、前面に6尺四方位の板が浮き上がりこれに掴まることができた。暗夜によくみると吉田少尉もこれに掴まっていた。大きな波浪に翻弄されながら漂流すること約3時間ほどがたって、手足は凍えるばかり、沖も眠りに陥りそうになりながら、吉田少尉を励まし励まし、漂流。駆逐艦峯風のボートに救助されたのは9日3時頃であった。