大洋丸>広橋百合子

●東京で規則正しい合宿練習を終え、皆さんの御見送りを受けて「大洋丸」に乗り込みました。船に不慣れな私は、この永い航海を何よりも心配しました。そして刻々と船が故国を離れる時、必勝を胸におさめた私は、一層その思いの切なるものを覚えました。故国でのコンディションを船中で、彼地で保持せねばならぬのが第一条件でしたので、船中では高田通先生、山岡先生が私共の身の上を非常に心配され、ある時は練習に、ある時は遊戯に談話に、絶えず御指導下さいました。船に酔う心配をした私でしたが、甲板で競争や遊戯をしたり、器械馬に乗って遊んだりして、なんとか愉快に練習ができました(「第十回オリムピック大会報告」 三省堂 1934.5 p243 広橋百合子)