大洋丸>Kleistクライスト>吉野丸

○「大洋丸と吉野丸」先年、深井著『大洋丸の航海』(こつう豆本141)を日本郵船歴史博

物館に寄贈したが、礼状もなにも来なかったのでほうっておいたが、気になったので電話し

たところ、学芸員の吉野さんという人が出てよく探してもらったら、あった。そこで特装版

も吉野さん宛に日本郵船歴史博物館へ寄贈することにする。吉野さんという名前で連想され

る、大洋丸と同時回航の吉野丸のことを、次ぎに抄録する。

●「吉野丸の独逸名」クライスト(Kleist)1920年大正9年)11月9日引渡完了、日本郵

船の手によりて回航し、11月28日リヴァプール出発、大正10年1月23日横浜に到着せしが、

到着後引き続き同会社に管理を委託することとし2月24日これが契約を締結したり。契約の

条件は殆ど大洋丸と同様にして、その使用料は重量頓1頓につき1箇月金30銭を納付するも

のとし、同会社においては本船を郵便定期航路横浜倫敦代船または逓信省命令航路横浜メル

ボルン線使用船代船として使用したり。しかして本船の船名は同会社の負担にて大正10年12

月13日これを吉野丸と改称したり(「明治大正財政史20」財政経済学会1939 p146)