大洋丸>山本五十六<反町栄一

●「山本五十六の盆舞」大正8年5月20日、郵船の諏訪丸で山本五十六は米国ボストン駐在の

ため横浜を出発した。米国国情研究のためであった。船内で演芸会があったが、日本人で誰

も出場者がいない。するとこれにたまりかねてか、一人の颯爽とした日本青年が、現れたと

見る間に、サロンの手摺りにアッと言う間もなく、誠に見事なフォームで逆立ちをした。拍

手がわき起こった。次ぎに青年は大きな皿2枚をボーイから借りて両手に一枚宛載せ、前後

左右上下に水車の如くに、振り回し、ついには両手に皿を載せたまま宙返りを何回も行った

のである。この青年こそ誰あろう山本少佐であった。大正10年5月5日、山本に帰国命令が下

り、7月19日横浜着の「大洋丸」で帰朝し、直ちに北上の副長に補せられ、支那方面で活

躍、12月1日、海軍大学校教官を命ぜられたのであった(「人間山本五十六」光和堂1964 

p239 反町栄一)