大伴家持>志賀4首>特例3件

大伴家持能登の歌」は「志賀町を囲む4首」という絞り込んだテーマとすることで、いよいよその特別な意味を発見することができた。「気多の神宮に赴き参り」という題詞は、これを神宮参詣の際の歌が万葉にあるかというと、ここだけにしかないのである。「鳥総たて」の歌は、家持作歌400首中只1首の旋頭歌である。「水占」(みなうら)は、古代から今に伝わる各種の雑占の一つに違いないけれども、万葉集中ここだけにしか現れず、説明は伴信友の「水占考」にしかないそうである。縄を水に延ばして吉兆を占うという説明では、納得できない。諸説のなかで、草雛を2つ作り、浅瀬に流して、下流の1定点に再び出会うかどうかを見て吉兆を判断したという説に組みするものである。草雛は、草の葉を一枚丸く曲げて茎を葉の真ん中に指して帆舟とし、雛と見立てて男雛女雛の2個作り浅瀬に流すという説は、旅中の慰めとして手軽であり、あちこちの「清き瀬毎に」流せそうである。