大洋丸>田久保英夫>みづ乃本日閉店

坂本さんに教えられた「文学界」平成16年12月号の「大洋丸」記事は、芥川賞作家田久保英夫
の小説に「大洋丸」のウエイターだった兄光太郎のことが思いがけない箇所に出てくることを調
べてあった。深井はそうした作品をいくつか知っていたのであるが、なぜ知っていたかというと、
早稲田大学図書館前の通称「グランド坂下」にある和食屋さん「みづ乃」の主人水野さんが
田久保と世田谷工業学校の同級生で、水野さんがそのことを深井に教えてくれていたばかりか、
田久保の本を持っていて深井に貸してもくれてもいたからである。
水野さんは、これも田久保の小説によく出てくる母親が営業していた料亭へ田久保に連れて
行かれたこともあるとのことであった。そのことを水野さんが話してくれたのは、
今月の18日のことで、深井は同時に「みづ乃」が、今日8月31日をもって和食屋さんを、
閉店することを知らされたのであった。
水野さん、奥さん、長い間ご苦労様でした。お昼しか行ったことはありませんでしたが、
美味しい元気の出る具沢山のあの味噌汁、柔らかいお肉の生姜焼き、御馳走さま。
ありがとうございました。
「みづ乃」の営業開始は昭和41年3月と聞いていたから、40年間のお店だったわけである。
深井が「日本古書通信」に「書誌の書誌」の連載を先師天野から継承したのが翌年で
36年間連載していたが「みづ乃」の営業期間にスッポリ入ってしまうので、
それがどんなに長い間だったか実感できるのである。