能登の歌>珠洲の海

珠洲郡より発船して治布に還りし時に、長浜の湾に泊てて、月光を仰ぎ見て作る歌一首
珠洲の海に朝びらきして漕ぎ来れば長浜の浦に月照りにけり
珠洲郡飯田の海から早朝船出して越中高岡の国府に帰った時、途中長浜の浦に泊まったところ、月光は中空にかかって照っていた。長浜は七尾湾の東辺の長浜ともいうが、それではまた、陸行して臼が峰を通らねばならない。能登東岸、富山湾西岸を船行一日で南下して国府に近い越中伏木の長浜で詠んだ歌だと思う。