大洋丸文献探索>杉森久英記事要約>島田清次郎

大洋丸の記事を探している自分の方法を、図書館学の授業
で学生に教えていたことがある。学生に調査テーマを設定させ、
私の調査方法を真似て、各自のテーマで文献を探させ、その調査
レポートを採点していた。自分の生い立ちや、読書を話した
なかに、卒業した高校のある七尾出身の作家杉森久英さんの
直木賞作品に「天才と狂人の間−島田清次郎の生涯」があった。
その小説の中に「大洋丸」の記事があったのだが、私自身気づいて
いなくて、学生の樫内さんに指摘されて、驚いたことがあった。
杉森さんの書誌を作成し、出版した友人の渡辺さんの紹介で、
杉森さんを生前、世田谷赤堤のお宅に2度訪ねたこともある私が、
この島田が「大洋丸」で横浜を出航したことを、どんな資料で
知られたのか、亡くなる前に、お聞きしていなかったことが
悔やまれるのだが、今後の調査課題となっている。

○大正11年4月、ベストセラー小説「地上」の印税で、
島田清次郎が外遊する船は、日本郵船の「大洋丸」である。
夫の狂暴な振る舞いで、疲労の極にあった新妻の豊子は、
その日が変更しないことを願ったが、彼女の次兄は、
越中島の高等商船を出た日本郵船の機関士で、郵船の船は
めったに出港の日時を変更しないことを知っていた
(「天才と狂人の間−島田清次郎の生涯」 河出書房新社
  1994 p148 杉森久英