大洋丸文献探索>豊島半七記事要約>横浜出航

●次ぎの記事は、私が早大図書館の和書データベースの入力を担当
していた頃、入力図書のなかに、偶然に発見したものである。
豊島半七という人は、名古屋の成功した商人で、この「遊行録」
自費出版した、自身の世界周遊旅行記である。

○昭和4年3月29日午後1時5分横浜臨港線行にて東京発車。
水上署の旅券検査後、郵船「大洋丸」の百三十一号室に乗船。
一同葡萄酒の杯を上げ見送の方々下船。午後三時出帆、出帆後
十四五歳の男子密航発見。小艇呼寄せ送り返し二時間空費す。
4月3日毎夜タキシード着用、食卓にいづ。夜8時活動写真あり。
米大陸、布哇、水泳の場面など見る。4月4日夕食後右舷甲板に
舞踏会あり。船内には電力各種の運道具、遊戯品備付あり、無聊
を感ぜず。通話出来れば面白からんに残念なり。東南風強く吹き
浪高けれど不快なく、阿呆鳥船に数多従い来るを見る。
(「遊行録」 豊島半七 1930 p1 豊島半七)