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「輝ク部隊渡支慰問班報告」昭和15年5月23日、「大洋丸」はいま鳴門海峡をすぎました。

今夜は満月の筈で皆たのしみにしていましたが、濃い桃色の陽が沈む頃から薄曇り、夜に入

ると空も海も真黒になりました。しかし波は高くありません。この船は豪華ではなく、ドイ

ツの技術の匂いがじかに来るほど、堅牢重厚なものです。このドイツ人の造った巨船の中

で、ドイツ人は落ち着いた顔色、英仏人は沈んだ表情。食堂などでありありとそれが感じと

られます(「輝ク8.4.85」1940 p1 大田洋子)