大伴家持>わずかな足跡

大伴家持は、現在能登について文字に書き表したものを、書き残した最も古い人だったのだろうか。1200余年も以前に、能登を10日から1箇月あまり、騎乗したり、歩いたりして彼は、確かに当時当所にて属目のことを題詞と短歌で4首、旋頭歌で1首のこしている。それは万葉集という彼が収集し編集した巻17巻の末尾に書き残されているのだ。歌道中日記とでもいわれる部分で、日時を追って配列してある。私の生まれた母の実家のある羽咋郡志賀町、父の実家があった羽咋郡宝達志水町には、かすかに、その足跡が残っている。極わずかなのである。