大伴家持>珠洲の海

珠洲の海に朝開きして漕ぎ来れば長浜の浦に月照りにけり」
(橋本達雄)珠洲能登半島の突端に近く、郡家(郡の役所)があった。そこを朝早く船出して、国府に近い氷見の長浜に着いたときには、月が明るく照っていたのである。単純な内容だが、のびやかで明るく、すっきりとした快さが伝わってくる。長い責任のある旅から解放された快さと安堵感からのものである(「大伴家持 王朝の歌人2」集英社1984 p152)