大伴家持>香島より

○「香島より」
太田光一)香島は鹿島郡の鹿島で現在の七尾港である。熊木村は現在の七尾市の北西の鹿島郡中島町の熊来川の河口辺であろう。楫とる間なくとは櫓を漕ぐ手を休める間もなく、つまり絶え間なくである。「香島より」も「妹にあわず」も望郷の念ひとしをであったことを示している。これらの歌には先行歌の模倣も見えるが、歌を詠みあえる相手のいない中で、眼前の景物を素直に写生しようとしているひたむきな作品群である(「大伴家持」郁朋社2002 p150)