大洋丸航海日誌

大洋丸は大正9年第一次大戦終了時の賠償船でドイツから受け取ったものだが、その時引き取りに行った三井物産の山本幸男氏の子息邦男が、偶然にもこの遭難事件の犠牲者になった。大正年間の大洋丸は太平洋航路及び長崎−上海−神戸の航路にも就航し、長崎市の豪商栗岡氏の夫人七巳子(京都室町の呉服問屋より嫁入り)が、何度目かの京都へのお里帰りの折、長崎から神戸まで大洋丸に乗船し、船長の依頼で、ボートデッキで欧州のある国のプリンスの卓球のお相手をしたという思い出が、彼女の著書「つれずれ」に収められている。
(「大洋丸事件と殉難者慰霊碑」長崎・吉田英治2003 p8 吉田英治)