大洋丸航海日誌

○バランスをうしなったボートは海上高く宙づりになり、必死の思いで取りすがる人々も、豆の様にばらばらと暗夜の海上に振り落とされて行く。この惨状を目撃してボートを諦め、最後まで船に残りスタミナ温存を計る事にした。ボートに乗ることを諦めるとなにも…

大洋丸航海日誌

*英国から長崎造船所へ発注の世界一豪華客船進水式が4C「今日は何の日」に出た。姉妹船の姉船の工事中の火災事故を中心に配線担当の清水さんという人の視点から紹介あり。妹船の方を名をとりかえて引き渡し日に間に合わせたなど事実は小説よりも奇なり。…

大洋丸航海日誌

○昭和17年5月6日船団会議があり、109船団5隻のうち最低速9.5ノットの御影丸に速度をあわせることに大洋丸の原田船長が、機関整備が困難になるほか、敵潜水艦の好餌になると言って強力に反対した。ところが御影丸は海軍関係船で陸軍の船団からはずことは陸…

大洋丸航海日誌

*「オリンポスの果実」を北国新聞掲載「わが半世記」で「ストーリーは田中英光さんというボートの選手が女子選手に思いをよせるのだが一方通行で・・・」と長井百合子さんはやはり自分が走高飛跳選手として出場した昭和7年のロスオリンピックを物語はじめる。…

大洋丸航海日誌

*大洋丸に乗船し昭和7年のロスオリンピックの女子走高飛に出場の広橋百合子のわが半世記が故郷押水の図書館の調査で判ったので北国新聞の読者サービスから昭和52年10回連載した談話を取り寄せた。1頁500円で5000円。これまでに調査した広橋記事の内では最…

大洋丸航海日誌

*大洋丸という文字がとにかく出ている文献を見つけ記事を要約して内容の時系列に並べる作業を続ける、というのが最もシンプルな目的でありその過程で日本が近代の戦争に巻き込まれて行く事情を読み取り自分の生きてきた時代というものへの認識をより一層深…

大洋丸航海日誌

*カメラマンの藤波さんは前田利為ボルネオ司令の遺志を継ぎ撮影された文化映画「キナバル山」を大変な努力で撮り終えたフィルムを持って昭和18年の暮れ内地に帰ってきた。○南方ボケの私の頭と皮膚は内地のきびしい冬の風にさらされて悲鳴をあげた。二年ぶり…

大洋丸遭難を後にして吉野丸は南へ

*大洋丸撃沈を後ろにして藤波さんたちの吉野丸は南方を目指す。南方の占領地に行って戦争継続のための資源を開発して一日も早く日本に送らねばならない使命がある。大洋丸から投げ出された人々を救助してはいられないのである。藤波さんは続いて次のように…

大洋丸遭難の目撃者藤波さん

大洋丸撃沈を見て大洋丸乗船から吉野丸乗船に突然変更になって命拾いをした高橋さんと同じ立場の藤波さんはこの時の思いを次のように書き残している。 ○夜の闇が迫り五島列島沖の暗い海面にただ一つポツリと光る大洋丸の燃える姿が船尾の遠くにいつまでも見…

大洋丸航海日誌の継続

昭和17年5月8日、大洋丸が3発の魚雷攻撃をうけ積荷カーバイトの誘発で猛烈な火炎をあげて撃沈する様子を同船団吉野丸から目撃した二人の人の公刊された手記2冊は読んでいた。一冊は中公文庫になっていて江東区の図書館から借りた藤波さんの「ニュースカメ…

坪野哲久>9月展覧会開催中

深井の郷里石川県羽咋郡志賀町立図書館では、同町高浜生、 昭和46年読売文学賞受賞の歌人・坪野哲久の展覧会を開催中である。 同図書館から深井に下記の関係から今春調査依頼があった。彼は昭和16年に「早稲田大学理工学部長付書記」という資格で、 早大…

書誌解説>「内田百輭帖」

この「大洋丸航海日誌」は深井の個人的な調査記録であるが、先般の坪野哲久調査を「1頁 要約」の形式にしたのも、郷里志賀町立図書館からの調査依頼であるし、この「書誌解説」 も「書誌年鑑」の中西さんの依頼である。個人的調査といっても、やはり他人の…

書誌解説>ブロンテ文学の文献目録>解説続

『ブロンテ文学の文献目録』の分類構成は41項目からできているが、 そのうちの1項目「広い藻の海」はカリブ海の諸島で行われていた 黒人奴隷搾取に抗議する意味をもつ小説の題名で、カリブ海うまれの 女流作家ジーン・リースの作品であるという。 つまり…

書誌年鑑>書誌解説

今年は3点の解説を申請した。そのうち「ブロンテ文学の文献目録」という書誌の解説草稿を 作成しはじめている。 第一稿は次ぎのようである。 1981年にはじまる編者のブロンテ関係文献探索や書誌出版の総結集。邦文文献にかぎり、図書収録記事、雑誌掲載記事…

坪野哲久>哲久記念館

深井の郷里石川県志賀町立図書館では司書の森さんの骨折りで、9月1日から30日まで、 毎日なにかの記念会をしているが、図書館自身は「坪野哲久展」を開催中で皆さん忙しい。

大洋丸>田久保英夫>みづ乃本日閉店

坂本さんに教えられた「文学界」平成16年12月号の「大洋丸」記事は、芥川賞作家田久保英夫 の小説に「大洋丸」のウエイターだった兄光太郎のことが思いがけない箇所に出てくることを調 べてあった。深井はそうした作品をいくつか知っていたのであるが、…

坪野哲久>講演会展示会

深井の郷里石川県志賀町立図書館が今年行う、志賀町高浜出身の歌人 坪野哲久の生誕100年記念講演会展示会の開催日程が届いた。 図書館の森さん北谷内さんから大体は聞いて知っていたことではあるが 下記のようである。プレイベント 8月27日(日)午後…

大洋丸>田久保英夫の大洋丸関係作品

坂本さんが、この「大洋丸航海日誌」ブログに書き込んで報知してくれた「文学界58(12)」2004年12月号の記事に、やはり「大洋丸」関係記事があった。書かれているかも知れないということを、坂本さんはなんで知ったのだろう。よく行く東陽図書館…

坪野哲久>早稲田大学「1頁要約書誌」第3版

深井編集発行の年刊誌『文献探索』では、「1頁要約書誌」というものの原稿を募集している。 自己設定の文献探索のテーマについて、執筆者の異なる見解を5行5件程度集めて、 自分の理解の範囲で要約して示す作業である。そのテーマについての見識を深める…

坪野哲久>早大理工勤務

志賀町立図書館の森さん依頼で調査をはじめてきたが、明確な証拠となる記事や写真などは、 未発見である。かえって、 志賀町で出版の『坪野哲久小説集』収録の小説作品「鎖」のなかの主人公のモノローグのような 箇所、森さんも既知の坪野哲久にこの就職口を…

坪野哲久>早稲田大学書記・1頁要約書誌2版

早稲田大学理工学部長付書記坪野哲久・1頁要約書誌・2版(深井人詩) 要約末尾に頁のみの典拠は(山本司「歌集碧巌」坪野哲久 短歌新聞社 1998) 明治39年9月1日 坪野哲久 高浜町に父・次六、母・よねの4男として出生(p121) 大正10年 山本忠興、…

早稲田大学書記・坪野哲久・1頁要約書誌・1改訂(深井人詩)を作る。

坪野哲久は歌集「碧巌」で、昭和47年読売文学賞受賞。今年平成18年は生誕100年、 郷里石川県志賀町町立図書館では記念行事を行う。同館の森さんから坪野は早大に勤務 したことがあり早大退職者の深井に一歩踏み込んだ調査をして欲しいとの依頼があった。(山…

坪野哲久>山本忠興理工学部研究所長付書記?

坪野哲久は歌集「碧巌」で昭和47年読売文学賞を受賞。今年平成18年は生誕100年、 郷里石川県志賀町町立図書館では8月に講演会、9月展覧会を行う。同館司書森さん から早大退職者同町出身の深井に坪野早大勤務状況調査の依頼があった。深井作成 著作目録収録…

坪野哲久>大学の書記は蛆虫

坪野哲久が山本司作成の年譜(「歌集碧巌」短歌新聞社文庫)のなかで「早稲田大学 理工学部長付書記」となった感想を、小説「鎖」のなかで、もう一箇所書いているのは、 次ぎのようなことである。○大学の書記は蛆虫みたいなものだ。わからずやの教授と商売上…

坪野哲久>大学の書記

坪野哲久の小説集のなかに確かに大学に書記として勤務していたらしい箇所を見付けたと思って、あとでその箇所はすぐわかるとおもい、先に読み進んだ。11篇収録のうち最後の1篇「妻の砦」にかかろうとして急にあの箇所を抄録しておかないと忘れるかもしれ…

坪野哲久>作品「鎖」

坪野哲久小説集、梶井両先生の著作目録を入力中に草臥れると読んでいる。坪野哲久が早稲田大学に書記として勤務していたことを裏付ける箇所がないかと思っていたら、あった。そこはあとでもすぐわかると思って、さきを読んでいって、今日抄録しようとして探…

坪野哲久>山本忠興資料

坪野哲久が写っている写真と同じ頃撮られた写真で、同じような人物がいる写真がないか調べるために、早稲田大学史資料センターに出かけた。先日校友だが何か証明するものでも持っていかないといけないか、メールで訊ねたら、不用だということであった。 梶井…

坪野哲久>大隈講堂前写真

坪野哲久が写っている写真、森さんからコピーで届いている写真は、早稲田の大隈講堂を背景にした、早稲田大学写真撮影定番の場所である。26人で、坪野は後方列で右2,2人目、学生服の二人の間に挟まって肩から上を出して立っている。前列は椅子にすわっ…

坪野哲久>『坪野哲久小説集』

●『坪野哲久小説集』が、深井文庫を収蔵してもらっている志賀町立図書館の森さんから贈られて来た。早速、戦前作品「南京錠」「雷雨」から読み始める。

坪野哲久>自分を貶めず

(高山雅夫)http://www1.parkcity.ne.jp/blueblue/sanbun/tekkyu/tekkyu2.htm ○木琴をたたきてあそぶ孤(ひと)つかげ秋しばしだにやすらぎあらせよ 「木琴を叩いて遊んでいる(幼い我が子の無心の)孤独な姿。(その孤独な営み)にとって(厳冬期を前にし…