2006-01-01から1年間の記事一覧

坪野哲久>早稲田大学理工学部関係資料

坪野哲久が、早稲田大学理工学部長付書記だった昭和15年7月(2日に大隈講堂前で撮影した裏書きのある写真を調査人森さん所持)から昭和17年1月に止めたという妻山田あきから友人渡辺久次郎[先に山本司と記した誤りを森さんのコメントで訂正]宛の手紙…

大伴家持>万葉集編集年

「天平勝宝5年・万葉集編集年」 「栄華物語」には天平勝宝5年「橘卿諸卿大夫集まりて、万葉集を撰ばせ給」とあることと、巻1・2を原万葉とするのが品田多吉、これに巻11-14も古万葉とするのが賀茂真淵、しかし万葉集は、これら原・古の形の勅撰集とはなら…

坪野哲久>山本忠興理工学部長付書記

坪野哲久は深井の郷里能登志賀町高浜生まれで、昭和46年歌集「碧巌」で読売文学賞受賞の歌人、昭和63年82才で亡くなっている。坪野は北陸の厳しい気候に耐えた気性と、言葉を鋭く鍛え上げて歌を詠み、それには東洋大で学んだ漢詩文が素養となっているという…

大伴家持>僧平栄

「平栄」僧 天平感宝元年5月、僧平栄が訪ねてくる。平栄は東大寺占墾地使すなわち東大寺の墾田を確保する使者で全国にとんで寺領の拡大につとめていた。東大寺建造大仏鋳造は国家の大目的だからである。家持は平栄を布勢の海に案内して饗応している。家持の…

大伴家持>田辺福麿

「田辺福麿」 天平20年3月、橘諸兄の使者として家持を訪ねてきた。造酒司令史とは酒を醸し、甘酒や酢などをつくる役所の三等官であるが、歌集もある歌人である。どういう役目があって左大臣の使者として越中に来たのであろうか。万葉集編集の話か、政治的密…

大伴家持>天平17年上京中止

「天平17年」 ○天平勝宝9年、橘奈良麻呂の藤原仲麻呂暗殺計画がもれた。陸奥守佐伯全成は聖武天皇病気の天平17年、大伴・佐伯の氏人を反乱に誘ったと自白した。家持は知らされていなかったか。家持の従弟大伴古麻呂と越中の掾であり家持の部下でもある大伴池…

大伴家持>香島より

○「香島より」 (太田光一)香島は鹿島郡の鹿島で現在の七尾港である。熊木村は現在の七尾市の北西の鹿島郡中島町の熊来川の河口辺であろう。楫とる間なくとは櫓を漕ぐ手を休める間もなく、つまり絶え間なくである。「香島より」も「妹にあわず」も望郷の念…

大伴家持>妹に逢わず

「妹に逢わず」 (太田光一)饒石川は現在の仁岸川で、鳳至郡剣地で日本海に注いでおり、羽咋市より北であるから4028番「妹に逢わず」は4025番「志雄路から」の次ぎに詠まれたと思われる。なお、この「水占」は「清き瀬ごとに」に「元気か、具合が悪いか」と唱…

大伴家持>志雄路から

「志雄路から」 (太田光一)之乎路とは志雄路のことで、現在の氷見市から羽咋市へ抜ける臼が峰の西の所司原を通る街道であろう。ほの暗い木立の山道を下って来て、ぱっと眼前に海が開けた。その時の開放感は鏡のように朝凪した海を見て更にいや増したのであ…

大伴家持>珠洲の海

「珠洲の海に朝開きして漕ぎ来れば長浜の浦に月照りにけり」 (橋本達雄)珠洲は能登半島の突端に近く、郡家(郡の役所)があった。そこを朝早く船出して、国府に近い氷見の長浜に着いたときには、月が明るく照っていたのである。単純な内容だが、のびやかで…

大伴家持>天平16−18年

「天平16−18年」 (小野寛)巻16までの歌と巻17以後の歌記録は性格が全くことなる。歌記録に対する態度の変化で、天平16年後半から18年の2年間に起こった。天平17年正月7日、家持は従5位下に叙せられた。しかし、官を得るのは天平18年3月10日の宮内少輔任官…

大伴家持>能登の島山

○大洋丸に乗り合わせた大伴家持は香島津から船出して、造船用材の船木が繁っていて 神々しい能登の島山を眺めている。

坪野哲久>小説新潮と早稲田文学の掲載短歌

○今日は志賀町立図書館の森さんの依頼で早稲田文学の昭和49年7月号と小説新潮の昭和31年9月号に掲載された坪野哲久の短歌と目次・奥付・表紙のコピーを早稲田大学中央図書館の雑誌書庫に複写に行った。この昭和30年頃は坪野さんも有名だったようだ。…

大伴家持>テーマに取り上げる理由

○長く調査してきた「大洋丸」の乗船者に私の郷里石川県羽咋の出身者がいた。 広橋百合子である。彼女は私が18歳で読んだ田中英光の「オリンポスの果実」に 最初から登場していた。ハードルの中村さんとして。作中人物のモデルはこの 作品の中でいろいろにあ…

大洋丸>オリンピックへ出発

○大洋丸の航海記事が、またまた坂本さんから寄贈されてきた。「織田作之助 田中英光 坂口安吾 三人展」という展示目録の中の記事である。昭和44年1年14〜26日伊勢丹本館特設会場とある。P50の写真説明文に「昭和7年7月日本郵船大洋丸船上にて、後列左端田中…

大伴家持>志賀4首>特例3件

「大伴家持・能登の歌」は「志賀町を囲む4首」という絞り込んだテーマとすることで、いよいよその特別な意味を発見することができた。「気多の神宮に赴き参り」という題詞は、これを神宮参詣の際の歌が万葉にあるかというと、ここだけにしかないのである。…

大伴家持>熊来を指して

○私の大洋丸航海日誌は、ついに大伴家持と遭遇して、家持を乗船させて、香島津の七尾から熊木を指して船出している。熊木はコマキがクマキになったという。コマキとは郄麗来で渡来人が住んでいるところの意という。

大洋丸>航海日誌

○大伴家持はその時期、天平20年春3月の出挙のとき、彼の身の上には、どのような任務があったか。聖武天皇の要求は、橘諸兄の要請は、大伴一族の族長とも言うべき彼への期待は?などなど究明すべき事共がある。 ○一口に、出挙というが単に官稲種米を貸し与…

大伴家持>わずかな足跡

大伴家持は、現在能登について文字に書き表したものを、書き残した最も古い人だったのだろうか。1200余年も以前に、能登を10日から1箇月あまり、騎乗したり、歩いたりして彼は、確かに当時当所にて属目のことを題詞と短歌で4首、旋頭歌で1首のこし…

大洋丸>安部屋の海

火打ち谷の峠、松林が朝露に濡れて松葉から輝く滴をおとしていた。空に入道雲の恐ろしげな黒い青い姿が、遙か向こうの山々におおいかぶさっていた。海苔巻きおにぎりを包んだ風呂敷をしっかり担ぎ直して歩き出す。初めて泳いだ安部屋(あびや)の海への熱く…

大伴家持>藤原一族への敵対心

現在の志賀町を囲むようにして詠われ、残された能登の歌4首、大伴家持天平20年748年「出挙」の「当時当所にて属目の」情景の歌は、謎の問いかけを私に投げかけてくる。妹にあわず久しくなりぬとか、楫とる間なく都し思ほゆの「思い」は、単純に奈良の…

大伴家持>巡行地名

1月23日付で、志賀町立図書館より「大伴家持・能登の歌」講座への講師依頼が来ている。 2月19日(日)午後2時〜3時半 図書館2階 おはなし会室 となっている。 今回は、天平20年(748年)3月、大伴家持能登出挙巡行時の「現在の志賀町をめぐる」4首の地名と…

大伴家持>饒石川巡行

○私の志賀町を囲んで、天平20年に大伴家持が多分騎乗と、船上で詠んだ歌4首が、この日頃の私をもまた取り囲んでいる。すなわち、志雄路から・・・鳥総たて・・・鹿島より・・・妹にあわず・・・の4首である。この道筋を、今の地名と言葉で説明してみる。氷…

生まれ故郷>作家と学者

母の生まれ故郷は、今の志賀町新林、父の生まれ故郷は、今の宝達志水町杉野屋、間に羽咋市を挟んでいる。羽咋市の真ん中を日本海に注ぐ川が羽咋川、その河口から遠く香島津すなわち七尾に向かって東北に向かって低湿地溝帯がはしり大昔は海、それが邑知潟で…

大洋丸>能登の島山

大洋丸と大伴家持の能登巡行の歌5首がどうして私の頭のなかで結びついたものか。 長い間自分の郷里などとは無縁の大洋丸であるが、なぜか有縁であるとおもって調べてきたら、どうもこれは、自分の人生とも郷里とも深くかかわっているのではないか。そう思わ…

大洋丸>石川県鳳至郡穴水町

石川県鳳至郡穴水町、そこは私が太平洋戦争の間、国民学校に通った町である。昭和16年一年生の冬12月に真珠湾攻撃があり、昭和20年父が出征し、空襲警報のサイレンが鳴っていた夜、富山が炎上するもの凄い煙を見てから、母の実家に疎開して一週間、戦争が終…

大洋丸>大洋丸の記事ありげな本

現在は「文献探索2005」に寄せられた原稿の総点検中であるが、これが終わったら 海洋大図書館越中島分館で読みたい本を、はてなアンテナの登録サイトでみて、 越中島にあるものを、挙げておく。 海事年鑑昭和2−19年・日本海運死闘の航跡・帝国主義下…

大洋丸>大洋丸の航海・2005・まえがき

「文献探索2005」の深井自身の作品「大洋丸の航海・2005」は10頁になった。 「まえがき」は次ぎのように終わる。 中学の英語教師山下先生は、戦艦大和の護衛駆逐艦乗組員で、大和撃沈時、海に投げ出され九死に一生を得られた。教諭着任の歓迎講演会でさ…

大洋丸>山下海軍少尉

山下先生から中学3年間、英語を習った。戦艦大和の護衛駆逐鑑搭乗の海軍少尉だけあって、紺の背広だと一層すらりとして姿勢がよかった。たまたま映画「おとこたちの大和」 を見た。あの伊藤整一(渡哲也)が搭乗してくる一場面は素敵だった。あの姿勢である…

大洋丸>山下少尉>東京商船学校卒業

○「大洋丸」に山下先生が乗船したことがあると、夫人の青山先生は受け取られたようだ。 山下先生が戦艦大和の護衛駆逐艦夕月に乗船、昭和20年4月7日米軍機の襲撃で、海中に投げ出され、9死に一生を得て生還の話を、中学1年生で聞いたことが、大洋丸調査に…